岐阜県飛騨地方に伝わる両面宿儺(リョウメンスクナ)伝説を現実的な目線で解説

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みなさんは「両面宿儺(リョウメンスクナ)」ってご存知ですか??岐阜県飛騨地方で今に伝承される偉人・怪人なんですが、文字での記録はあの「日本書紀」に残されています。こんな感じです。

 

六十五年 飛騨國有一人 曰宿儺 其為人 壹體有兩面 面各相背 頂合無項 各有手足 其有膝而無膕踵 力多以輕捷 左右佩劒 四手並用弓矢 是以 不随皇命 掠略人民爲樂 於是 遣和珥臣祖難波根子武振熊而誅之

(現代語訳) 六十五年、飛騨国にひとりの人がいた。宿儺という。一つの胴体に二つの顔があり、それぞれ反対側を向いていた。頭頂は合してうなじがなく、胴体のそれぞれに手足があり、膝はあるがひかがみと踵がなかった。力強く軽捷で、左右に剣を帯び、四つの手で二張りの弓矢を用いた。そこで皇命に従わず、人民から略奪することを楽しんでいた。それゆえ和珥臣の祖、難波根子武振熊を遣わしてこれを誅した。

日本書紀 仁徳天皇65年の条

 

一つの胴体に二つの顔・・・・・コワーですよね!!!!これが元になってか、ネット界隈でよく怖い話として出てきます。地獄先生ぬーべーにもそういえば登場してましたね。記憶が定かじゃありませんが、雪山に封印されていた顔二つ手が四つのどでかい妖怪の描写だった気がします。

さて、ここではこの両面宿儺(リョウメンスクナ)を少し現実的な目線から解説してみたいと思います。




 

日本書紀に書かれている意味


そもそも「日本書紀」ってなんざましょ??ってことです。日本書紀とは、天皇家を正統とする神代からの物語です。つまり、古代中央集権から見た、天皇家の歩みの歴史とも言えます。古代日本においては、中央集権は全然磐石ではありませんでした。そこで、日本各地に派兵し、地元民を服従させ、より強力な中央集権社会を生み出していったわけです。簡単にいうと、日本書紀は「勝者の歴史書」です。

 

両面宿儺(リョウメンスクナ)が書かれている日本書紀においても、簡単に要約すると「飛騨地方で暴れているへんなやつがいたから、武振熊(たけふるくま)という人物を派遣し、征伐した」ということです。

 

つまり、現実の目線で考えると、岐阜県飛騨地方の豪族達が中央集権になかなか従わなかったわけです。そして、そのリーダーのことを両面宿儺(リョウメンスクナ)と中央集権側が呼んだんでしょう。そこで、中央から、武振熊(たけふるくま)という将軍を派遣し、飛騨地方を征服した、と考えることができます。

 

飛騨地方の伝承では、両面宿儺は英雄


一方これは伝承ですが、飛騨地方に伝わる話では両面宿儺は英雄視されています。この解釈は、いままでの話を読んでいればとても簡単ですね。そう、つまり両面宿儺は飛騨地方では中央集権に立ち向かったリーダーなので英雄視されているわけです。なぜならば、飛騨地方にとって中央集権側は侵略者ですからね。侵略者に対して身命をとして戦ったリーダーを英雄視するのはごくごく当然のことといえるでしょう。

 

ではなぜ日本書紀では両面宿儺は化け物のように書かれているのか?だって、「化け物退治」として描くと誰も悪いように思わないですもんね。むしろそれこそ英雄視されます。「中央の命令に従わなかった豪族を、派兵してひねりつぶしました」と書くよりも、「地方で暴れている化け物を退治し、その土地の人々を救った」と書くほうが、人々の心を掌握することができますから。

 

特に、古代の物語は比喩や誇張がとても多いんです。ですが、そこにはなんらかの史実や時代背景が浮かび上がっています。それを紐解くのはとても楽しい作業でもあり、事実を考えることのできる瞬間でもあるんです。




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