なぜスペインは無敵艦隊と呼ばれるのか?その理由はレパントの海戦とアルマダの会戦にあった

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みなさん、ワールドカップ見てますか??ロシアワールドカップ、いや~熱いですね。私はほぼ見れる時は日本以外の試合も全てみているので、絶賛寝不足月間です。ですが、その寝不足を凌駕するほどのパワーと感動をもらっています。

そんなワールドカップですが、ついこないだスペイン戦を見ていたら、テレビのテロップに「無敵艦隊スペイン」という文字が見えたので、この記事を書こうと思い立ったわけです。「艦隊」といったら、戦艦のことですよね?なぜ、スペインのことを「無敵艦隊」と表現するのか?実はそこには歴史的なとある事件がありました。その謎を説明したいと思います。




 

キーワードは大航海時代


最初のキーワードは「大航海時代」です。15世紀半ばから17世紀半ばまで、世界史上では大航海時代と呼ばれています。これは、国益のために、ガンガン海外に植民地を作り、ガンガン外国と不平等条約と不平等貿易を行い、ガンガン母国に利益をもたらす各国の戦略的構想からうまれた時代です。分かりやすい例でいうならば、「奴隷と胡椒」です。アフリカの奴隷を他国へ輸出または自国での労働力とし、アジアで取れた胡椒を金と同価格で売っていました。そして時代は船の時代なので、その副産物として航海術や生命保険(航海がまだ非常に危険な時代だったので、遺族のための制度として生まれました)、また株式会社の考え方が生まれました(出資者は航海プロジェクトに出資する)。植民地なんていまだに残っていますもんね。大航海時代の爪あとは現代も残ってるんです。

 

そして、スペインに目を転じます。スペインは大航海時代に国力が最盛期を迎えます。とても強力な国でした、スペインは。なぜスペインが大航海時代に最盛期を迎えられたかというと、「スペインの位置」です。世界地図を見ていただくと分かりますが、スペインは大西洋と地中海に面しており、アメリカ大陸へもアフリカ大陸へもヨーロッパの中で一番アクセスの良い位置にいます。また、昔から良質な港が多く、地中海の入り口でもあるジブラルタル海峡も面しています。

 

そんな好材料がそろったスペインが大航海時代に弱いはずがありません。むしろ、強くなって当然の帰結なんです。1580年にスペインはポルトガルを併合しますが、それもポルトガルには「リスボン」「ポルト」といった優良な港があったこともその一因です。スペイン・ポルトガルの有名な航海士といえば、「バスコ・ダ・ガマ」や「マゼラン」がいるように、有名な航海士はスペイン・ポルトガルに集っていました。イタリア出身ですが、アメリカ大陸を発見した「コロンブス」もそうですね。それだけ、スペインは強国でした。



スペインが無敵艦隊と呼ばれた理由


上記からもわかるとおり、スペインは大航海時代に無双を発揮していました。これはどういうことかというと、「強力が海軍が存在していた」ということです。それゆえに、「無敵艦隊」と呼ばれることとなるんですが、この無敵艦隊には2つの捉え方があるんです。

 

<レパントの海戦>

世界の海戦のなかでも有名な海戦の一つに「レパントの海戦」という戦いがあります。これは、オスマン帝国(現トルコ)とヨーロッパ諸国連合との間で1571年おきた戦いです。当時、オスマン帝国の強さは尋常ではなく、いってみればイスラム教国であるオスマン帝国の侵略に、キリスト教国であるヨーロッパ諸国は脅威を感じていました。そこで、オスマン帝国とヨーロッパ諸国連合といういわばイスラム教対キリスト教の戦いが勃発するのですが、この戦いでヨーロッパ諸国の中心的軍事力を発揮したのが国の一つがスペインでした。

そして、このレパントの海戦では強力だったオスマン帝国は敗北。ヨーロッパ諸国の勝利に終わります。この戦いから、スペインは「無敵艦隊」と呼ばれるようになったという話がありますが、これは「良い方の呼ばれ方」なんです。

 

<アルマダの海戦>

もう一つ、「アルマダの海戦」という戦いがあります。これは、1588年におきた英仏海峡間でのスペイン対イギリスの戦いです。スペインはイギリス支配を目論み、当時の国主である「フェリペ2世」のもと、大艦隊をイギリスへ向けて派遣します。ところがどっこい、この戦いでスペインは大敗北を喫してしまうんです。これは、世界にとっては衝撃的な出来事でした。ワールドカップでたとえるならば、ブラジルが一次リーグで敗北するようなものです。これを機に、世界の制海権はイギリスへとうつり、イギリスの植民地がうじゃうじゃと世界中にひろがっていくわけです。イギリスの紅茶が有名なのも、イギリスがこの戦いにかってアジアの紅茶市場をゲットできたからです。

 

実は、「無敵艦隊」とはこの戦いで負けたスペインを皮肉るという意味でもあるといわれています。つまり、実力はありかつ絶対に勝てると思っている相手に負ける自国を、風刺として皮肉った表現こそ、「無敵艦隊」と呼ばれているという捉え方もできるんです。実力はあるのに、なかなかワールドカップで優勝できなかったスペインを「無敵艦隊」と呼んでいたのも、どちらかというとこの風刺表現の方が強い気がするんですよね。

 

さて、今年のワールドカップでは、無敵艦隊スペインは本当に無敵艦隊となるのでしょうか??それとも、優勝手前で負けて、自国民から「無敵艦隊」と揶揄されるのでしょうか??まだまだワールドカップは続きますが、その途中で無敵艦隊にちなんだ歴史の話でした。




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