世界で初めて全身麻酔手術を成功させた華岡青洲

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皆さんは全身麻酔の手術を受けたことってありますか??私は過去3回に渡って受けたことあるんですけど、あれ、すごいですよね。麻酔の吸入が始まったとたんに意識がなくなり、次に気づいた時は手術が終わってますからね。すごいことですよ、これは。仮に麻酔がなかったと思うと・・・・・絶対手術なんて受けたくないですよね笑

 

さて、この「全身麻酔」という医療ですが、実は世界初めての全身麻酔に成功したのがなんと日本人なんです。その名も華岡青洲。すごい功績ですがあまり知られていないのが残念でならないので、ご紹介したいと思います。




 

華岡青洲という人物


ではこの華岡青洲という人物はどんな人物なんでしょうか??見ていきましょう。

華岡青洲は1760年に紀伊国(今でいう和歌山県)に生まれます。つまり、江戸時代中期の人物ですね。彼の家は代々医師の家系であり、彼もまた医師として育つこととなります。

彼が主に学んだのは古方といって漢方医術の一つと、オランダ流医術でした。江戸時代は鎖国しているといえど、オランダとは貿易していましたからね。そこで、華岡青洲はヨーロッパの最新医術を学ぶこととなります。

 

麻酔の開発に着手


ヨーロッパの最新医療を学んだ青洲はそれと同時に、当時の医療技術の限界も学びます。

つまり、体の一部切除などの大掛かりの手術では、患者は耐えられなく死んでしまうというものでした。

そこで、青洲は「患者の体を麻痺させることによって、痛みを感じなくさせよう」と考えます。そこで開発しはじめたのが体を麻痺させる薬です。そう、今でいう「麻酔薬」ですね。

 

青洲は麻酔薬の発明に着手しますが、前途多難を極めます。

様々な植物の成分を調べたり調合したりした結果、彼は2つの植物に目を付けます。それが「チョウセンアサガオ」「トリカブト」でした。古来からチョウセンアサガオやトリカブトは毒としても有名で、矢じりに塗るなどして使われていましたが、医師である彼はその成分を分析し、麻酔薬として転用することにしました。

 

「麻沸散(まふつさん)」の発明と悲劇


一応の麻酔薬の形を完成させた青洲は動物実験を行い、その効果があることを実証しました。

しかし、人間でうまくいくかは別の話です。まず、自ら人体実験を申し出る人はまずいません。解剖実験などは罪人の死体などを使って行いますが、麻酔薬の実験を死体で行っても無意味ですからね。あきらめかけたその時、なんと自ら人体実験を申し出できた人がいました。それが彼の母と妻でした。

 

彼は母と妻に対して、麻酔薬の実験を実施します。が、ここで悲劇が。その結果は「母は死亡、妻は失明」という結果になります。悲惨な実験のと悲しみのうえに発明したのが「麻沸散」でした。

自分がもし同じ立場になった時に母と妻で試すかといったら、おそらく試さないでしょう。すごい心境と志のうえに、成り立っているのだと思います。

 

ついに全身麻酔手術の成功


そして、ついにその日が訪れます。彼はある女性の乳がんの手術を行うことになります。そして悲しみのうえに発明した「麻沸散」を使用し、全身麻酔の手術を行います。そして、切除は成功。ここに世界初となる全身麻酔手術の成功例が成り立ちます。

時に1804年のことでした。これより後にアメリカ人医師ウィリアム・T・G・モートンがジエチルエーテルを使用した全身麻酔手術を成功させますが、1846年のことです。つまり、40年以上も前に日本人が世界に先駆けて全身麻酔手術を成功させてるんです。

 

ちなみに、華岡青洲が作ったこの麻沸散は、直接患者に飲ませることによって麻痺効果を与えるというものでした。つまり、胃腸から取りこむわけですね。

それに比べて現在の麻酔は霧状にして患者に投与します。つまり肺から取り込みます。

これらの違いは、患者への負担と副作用です。圧倒的に後者の方が患者への負担が少なくてすみます。とはいえ、麻酔学の基礎を大成させたのは、華岡青洲という人物に間違いありません。世界に誇るべき日本人が一人、それが華岡青洲という人物です。




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