正倉院秘蔵の織田信長も欲した香木「蘭奢待」とは?

「正倉院」ってありますよね。正倉院ってどんなイメージですか??「東大寺にある倉庫」やら「校倉造」というキーワードが思い浮かぶ方は中学高校の歴史をよく覚えている方でしょう。

正倉院は確かに東大寺内にあるのですが、その納められているものの歴史的価値や重要性から、今は宮内庁管轄となっています。天皇家にまつわるものも多数納められていますからね。

正倉院に納められているのはいってみればお宝なので、表側に出てこないのが一般的ですが、幾多の人に権力や名声の象徴として欲され、表舞台に顔を出したお宝があります。本日はそのお宝のお話です。




 

香木「蘭奢待」とは


その正体は「香木」なんです。正倉院宝物目録名は「黄熟香(おうじゅくこう)」ですが、一般的には「蘭奢待(らんじゃたい)」の名前で知られています。百聞は一見にしかず!ということでこれが蘭奢待です。

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何やら生ハムのように見えますが、スペイン産高級イベリコ豚原木じゃあございやせん。これはれっきとした宝物なんです。

正倉院の宝物データベースによると、長さ156cm、重さ11.6kgもの錐形の香の原木で、原産地はベトナムからラオスの山岳地帯と言われています。

どのような経路・経緯で日本の地にやってきたのかの詳細は分かっていませんが、10世紀以降というのが有力な説となっています。

 

数多の人が欲した香木


ここまでだと「ふ~ん、日本のお宝のうちの一つか」ということになりますが、蘭奢待は少し他の宝物とは違います。

この天皇家所有の蘭奢待は、その希少性と天皇家が所有しているという由緒があるため、権力の象徴として使われてきた歴史があります。

どういうことかというと、この蘭奢待は香木なので、切り取ることができます。

今まで数々の権力者が蘭奢待を切り取り、権力の証としてきたんです。もちろん、香りを楽しむということもあったでしょうが、持ってるだけで価値があるものでした。「一国一城の価値」ともいわれる所以です。

その際たる例が「織田信長」です。織田信長は天下布武のため、権力の象徴として蘭奢待を欲します。もちろん、蘭奢待は天皇家が所有しているため、蘭奢待を切り取るには天皇の許可が必要になるためです。

織田信長の前に蘭奢待を切り取った人物はそうそうたる顔ぶれでした。一例を挙げます。

  • 足利義満(室町幕府3代将軍)
  • 足利義教(室町幕府6代将軍)
  • 足利義政(室町幕府8代将軍)

 

そう、将軍家なんです。つまり、名実ともに将軍家と並びえる権力の象徴が、この蘭奢待としての効力だったんです。そして織田信長は当時の正親町天皇から許可をもらい、なんと蘭奢待を切り取ることが出来てしまいます。

しかも、織田信長が切り取った場所は、足利義政が切り取った場所のすぐ隣、そして同じ大きさを切り取ったといわれています。つまり、一大名が将軍家と並び立ったことを世に知らしめる宣伝材料として、使用したんです。

なによりも、天皇がその力を認めた、ということに他なりません。これには、諸国の大名にも驚愕を与えることができます。

 

織田信長の後に切り取った人物は・・・・


ちなみに、織田信長以降に蘭奢待を切り取った人物が一人だけいます。それが「明治天皇」なんです。

まぁ明治天皇は自身の所有物だからわかるにしろ、天皇家でも将軍家でも無い人が切り取るというのは、やはり織田信長のすごさを体現しています。

そして、最新の研究で、蘭奢待は38か所の切り取り跡があり、同じ場所から切り取られたことを含めると、これまで50回以上は切り取られたと推定されています。これは、記録や言い伝えなど意外の権力者が切り取ったことや、東大寺関係者・管理者が切り取ったことが要因なんだと思います。

しかし、いずれにしても言ってみれば「ただの木」です。木一つに人が群がり、木一つを宝物としてあがめる。歴史と人間の面白いところですよ。




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