人名のついた世界の空港から学ぶ、その国の顔となっている英雄達の歴史

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空港、いつ行っても心躍りますよね。ビジネスで使う方はただの移動ツールかもしれませんが、旅行となるとその興奮は一際大きいものとなります。そして、空港とはその国の玄関でもあります。つまり、国の顔といっても過言じゃありません。

 

さて、その空港ですが日本を代表する国際空港といえば「成田空港」「羽田空港」「関西国際空港」といったところでしょうか。ちょっとここで考えてみてください。当たり前のことを言うようですが、成田も羽田も「地名」ですよね?関西国際空港にいたっては「地域名」です。日本の空港は圧倒的に地名空港が多いんですが、海外を見てみると実はそうではありません。

 

海外の空港は日本の空港と違い、「人物名」がついた空港がたくさん存在します。先ほど、「空港はその国の顔」と言いましたよね?そう、海外はその国の英雄や人気者、偉大なる人物をそのまま空港名につけていることが多く、そのためその空港を見れば、その国で誰が親しまれているかが分かるんです。

 

そこで、今回は世界の空港名からその国の歴史を垣間見てみようと思います。とはいうものの、人物名がついた空港は世界で約100個ほどあるので、ここでは日本でもなじみのある人物にしぼってフューチャリングしようと思います。




 

ジョン・F・ケネディ国際空港(アメリカ/ニューヨーク)


この空港は言わずもがなですね。ニューヨークにあるアメリカの顔の国際空港です。「ジョン・F・ケネディ(1917~1963)」を知らない人はいないでしょう。35代アメリカ合衆国大統領であり、ダラスでの悲劇の暗殺事件はいまだに残る世界の謎の一つです。

 

ケネディは暗殺事件にだけ目を囚われがちですが、ケネディの時代の歴史というのは、「キューバ危機」「米ソによる宇宙開発競争激化」など、いつ「第三次世界大戦」が起きてもおかしくない状況でした。歴史の結果を見ると、米ソによる第三次世界大戦はおきず、いまに続いています。ケネディの評価すべき点はまさにそこでしょう。今も人気のあるケネディ、空港名につくのもうなづけます。

 

パリ=シャルル・ド・ゴール空港(フランス/パリ)


ヨーロッパのハブ空港としても有名なのがフランス・パリの「シャルル・ド・ゴール空港」です。私も訪れたことが何回かありますが、広い空港内をひたすら走った記憶があります。さて、この一見変わった空港名もフランスの有名人の名がつけられています。その名も「シャルル・ド・ゴール(1890~1970)」です。

 

世界史を学んだ人であれば聞いたことがあるかもしれませんが、この人の名前がでてくるのは「第二次世界大戦」です。対戦中、フランスはドイツに侵攻され、イギリスに亡命政府を樹立します。その亡命先のイギリスにてレジスタンスを展開し、大戦後は首相・大統領に就任し、フランスの大戦後混迷期に財政や治安の建て直しのタクトをふった人物こそがこのシャルル・ド・ゴールなんです。ちなみに、彼は軍人です。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ空港(イタリア/ローマ)


イタリアのローマにある空港は正式名称を「フィウミチーノ空港」と言いますが、一般的には「レオナルド・ダ・ヴィンチ空港」と親しまれています。私も先日行ってきました。「レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)」、この人を知らない人もいないでしょう。まさに天才です。ミラノにあるダヴィンチ博物館に行ってきましたが、天才は分野を選びません。

 

建築家・画家・解剖学者・数学者・地質学者・植物学者・彫刻家・発明家・・・・まさに枚挙に暇がありません。モナリザや最期の晩餐が特に有名ですが、戦車の原型や持ち運びができる橋など、様々な発明や設計をしたことでも非常に有名です。決して一言では語れない人類史上の天才、それがダ・ヴィンチです。

 

チンギス・ハーン国際空港(モンゴル/ウランバートル)


「チンギス・ハン(1162~1227)」は日本でも有名ですよね。なぜか曲にもなってるくらいです。チンギス・ハンを一言で片付けてしまうのも非常にもったいないのですが、チンギス・ハンといえばなんといっても「モンゴル帝国」でしょう。モンゴル国内の一部族にすぎなかった彼が、東は中国・朝鮮半島、西は東ヨーロッパ、シリアにいたるまでの領域を全てモンゴル帝国にしてしまったのは、世界史の衝撃です。なんと、地球陸上の約25%がモンゴル帝国の領域でした。

 

彼の孫である「フビライ・ハン」が鎌倉時代の日本を攻めてきた「元寇」は日本でも有名ですよね。ですが、チンギス・ハンは行ってみればモンゴル以外の国から見たら「大いなる侵略者」です。侵略者を国の顔である空港名にするのはなかなか世界でも例も見ないですが、それほどモンゴルでは絶対的な知名度ということなんでしょう。そういうところからも、空港名から読み取ることができます。

 

アタテュルク国際空港(トルコ/イスタンブール)


ヨーロッパとアジアのハブ空港であるトルコの「アタテュルク国際空港」「ムスタファ・ケマル・アタテュルク(1881~1938)」という人物から名づけられています。彼は「トルコ建国の父」と言われており、オスマン帝国の軍人であった彼は第一次世界大戦の功績でその名が有名となり、1923年に帝政を廃止し、トルコ共和国を樹立。初代大統領に就任します。

 

行ってみれば独裁政権を運営しますが、独裁とは悪いことではありません。有能な独裁者であれば、改革や法・インフラ整備が民主議会制よりもはるかに早くすすみます。アタテュルクはいわば「それ」でした。慣例をそのまま引き継ぐことなく、ヨーロッパの先進技術や法体系を模範としたトルコ近代化を実施します。トルコが今でも諸外国に影響力をもっているのは、このとき基礎基盤をしっかりと作り上げたからでしょう。

 

番外編:日本の空港


ちなみに、日本でも人名がついている空港があります。それが「高知龍馬空港」です。正しくは「高知空港」なんですが、「高知龍馬空港」という愛称で親しまれています。坂本龍馬については、言わずもがなですね。今でも根強い人気をほこっている高知、いや日本の英雄です。

 

彼の視点は絶えず日本の数手先を考えていました。後の「海援隊」となる「亀山社中」を創立したり歴史的な「薩長同盟」を実現したりと明治維新は彼抜きには語れないほどです。また、龍馬暗殺事件など、まだ未解決な部分が多く残っているのも彼の人気を大きくしている一つの要因でしょう。

 

日本は侵略国であるという側面や控えめな性格であるため空港名にどうどうと人物名をつけないという意見も多く聞きますが、私は単にガラパコスだから、だと思っています。空港は世界の玄関なのにガラパコスって一見矛盾しているように見えますが、おそらく世界の歴史や世界の空港名、時流を読まない人が空港名をつけると、地方空港名みたいなわけが分からない空港名となってしまうのでしょう。どことはいいませんが笑

 

 

※世界の空港名、まだまだたくさんあるので随時追記をしていく予定です。乞うご期待!




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