六本木の地名の由来を簡単に解説
地名の由来を簡単に解説するシリーズ、今回は「六本木」です。いまや六本木といえば六本木ヒルズやミッドタウン、大手企業などが集結した日本の一大観光スポットになってますが、江戸時代の初めまではこの土地は閑散とした寂しい土地でした。
ここ数十年で日本で有数の速さで発展した六本木、その地名の由来を簡単に解説します。いざ、六本木!
字の名の通りの説
六本木の地名の由来にはいくつか説がありますが、まずは字から想像しましょう。六本木は文字を分解すると「六本」と「木」に分けることができますよね。非常に明解です。これは江戸時代にこの地に「六方庵」という大屋敷があり、その庭に「六本の松」があったことに由来しています。
そう、六本木の「木」とはこの説にのっとると「松」を意味しています。なので、他の地域で「六本松」なんて地名がありますが、これはまんま六本の松を指しているわけです。だいたい地名で「木」が登場するときはその土地に根付く特徴的な木から由来していることが多いので、この説も有力の説の一つです。
六つの屋敷の説
次にあるのがこの地にあった屋敷の説です。その屋敷というのが、次の通りです。
- 上杉家(出羽米沢藩)
- 朽木家(丹波福知山藩)
- 青木家(摂津麻田藩)
- 片桐家(大和小泉藩)
- 高木家(河内丹南藩)
- 一柳家(播州小野藩)
いずれも大名屋敷です。江戸時代では参勤交代制もあり、各藩の大名屋敷が江戸城近隣に建てられました。今の六本木も上の六つの大名屋敷がありました。さて、その六つの大名家の名前を見てください。いずれも「木」もしくは「木の種類」が苗字に入っていますよね?そう、なので六本の木→六本木というわけです。これ、なかなか面白いですよね。
個人的には、字の通りの説よりも、こちらの説の方が有力ではないかと思います。なぜならば松というのは非常に繁殖力が高いため、自生松であれば大いに繁殖するので六本だけではすまないです。また、六方庵にあった六本の松だけがフューチャリングされるのはやや現実味に欠けます。そこが圧倒的な有名どころであればまだしも、上記で述べたように周囲には大名屋敷がわんさか存在します。周囲の江戸民からは「あそこには木がつく六つの大名様がいらっしゃる。六本木様だ!」という流れになるのが普通じゃないかなと。
他にもあるぞ、本木の地名
とはいえ、実は六本木という地名はよくある地名なんです。というよりも六本木だけではなく、〇本木という地名が数多くあります。例えば「二本木」や「三本木」なんかはかなり多く地名として見られます。このことから、木を目印としてその土地の名前としたことは十分に考えられます。特に、平地などでなかなか特徴が無い地形では特に重宝された特徴(木)はすぐに地名として定着します。
案外みなさんが住んでいる地域にも「木」がつく地名が多いと思います。その木のルーツをさぐると普段気づかなかった新たな発見があるかもしれませんよ。