本当は実話だった?犬・猿・雉の正体は?昔話「桃太郎」を歴史的解釈してみる

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日本昔話でも一際有名なものがそう、「桃太郎」ですね。「どんぶらこ、どんぶらこ」のような「桃が川から流れてくる時にしか使えない擬音」「鬼退治なので犬・猿・雉を従えていく」「桃から生まれる」というなんとも奇抜な設定・展開で昔から日本国民の心を鷲づかみにしてきました。

 

昔話というのはふんだんに尾ひれはひれが付いていますが、その中心には原型となるなんらかの話や、この話を作ることの意図が必ずあります。今回は昔話桃太郎に対して歴史的解釈を加え、桃太郎の原型にせまってみたいと思います。

 

以下、記事も参考にしてくださいね。

<参考記事>




キビダンゴ=吉備団子


最初の切り口は「キビダンゴ」です。キビダンゴといえば、犬・猿・雉を意のまま仲間にできてしまう魔法のアイテムですよね。ドラえもんでも「桃太郎印のキビダンゴ」という道具となっており、インスパイアされています。ここでポイントとなるのが、「キビダンゴ=吉備団子」ということなんです。昔の日本では「吉備国」という国がありました。今で言う、岡山全域+広島・兵庫・香川の一部だと思ってください。つまり、キビダンゴとは、吉備の国の団子です。そのことから、桃太郎の話というのは吉備国の話であることが想像できます。

現に、JR岡山駅の東口には桃太郎像が建立されています。まさに、岡山が吉備国の中枢ですからね。では、次に鬼の正体にせまります。

 

桃太郎における鬼とは?


昔話にでてくる鬼というのは、本当の妖怪の鬼ではありません。その多くは「大和朝廷(時の政権)に敵対する地方豪族や反勢力」を意味します。昔の大和朝廷はいくつかの国の連合体に過ぎず、天皇の力も弱いばかりか、大和朝廷に従わない地方国が多くありました。まさに、この桃太郎もその方程式にぴったり当てはまるんです。

 

昔から吉備国とは出雲国(今で言う島根)は強大な力をもっていました。特に、吉備国では製塩や製鉄技術が発展し、山陽道という主要な幹線道も通っていることから、商売も盛んでした。そして、強大な力を持っているということは、大和朝廷に反旗を翻す力をも持っているこということです。また、大和朝廷側からしても、もちろん大和朝廷の力が一番であるために、地方国の力を削ぎたいわけです。また、吉備国の製塩・製鉄技術を大和朝廷直下としたいわけですね。歴史的にみてもこういう動きは決して珍しいことではなく、むしろ当然の帰結です。

 

そうです。この桃太郎というお話は「大和朝廷が吉備国を征伐しに行くお話し」が根本です。ですが、そのまんま「大和朝廷はその強力な軍隊を動因し、吉備国を征伐しにいきました」だとあまりにもトゲが立ちすぎますし、生々しすぎます。そして、遺恨を残しますよね。そこで、かわいい昔話に装飾するんです。だいたい、かわいい昔話で成敗系はそういうことです。

 

これを史実に置き換えると、「第7代孝霊天皇」の第3皇子に「彦五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)」という人物がいます。「吉備津彦命(きびつひこのみこと)」の名の方が知られていますが。日本書紀では、「吉備津彦命を西道に派遣した」とあり、古事記では「吉備津彦命が弟と共に吉備国を平定した」とあります。

 

以上の背景から、「吉備津彦命が時の天皇から命を受け、吉備国を平定しに行く話=桃太郎」という解釈が歴史的に見た時に一番しっくりくる線だと思います。



犬・猿・雉の正体は?


吉備津神社の縁起物語によると、「吉備津彦命が、犬飼部の犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)、猿飼部の楽々森彦命(ささもりひこのみこと)、鳥飼部の留玉臣命(とめたまおみのみこと)という三人の家来」という記述がでてきます。このことから、以下の解釈ができます。

 

<犬の正体>

犬飼健命とその一族郎党。犬養部というのは軍用犬の育成をしており、敵兵に噛み付かせたり、敵の惨敗兵に対して追い討ちをかけたりといった部隊育成をしてしていました。それをまとめて「犬」と表現したのでしょう。

<猿の正体>

楽々森彦命とその一族郎党。ですが、猿養部なんて私の知る限りではありません笑 おそらくですが、戦国時代に「軒猿」という越後の上杉家に従事する忍者がいるので、「諜報や各種軍事工作」を行う諜報員ではないかと思っています。

<雉=鳥の正体>

留玉臣命とその一族郎党。これは、鳥を弓矢で射って生計を立てていた一族と考えられます。つまり、弓矢部隊だと考えられます。

 

その他にも、「鬼=鬼門」の方角に対する「犬=戌、猿、雉=酉」という風な見方もあるようですが、歴史的解釈をするならばこの考え方は後世に後付された俗説感が強いです。

 

といったように、昔話を一個みるだけでもこんなにも「勝者の歴史である歴史的背景」がつまっています。これはあくまで一つの歴史的解釈ですが、歴史というのは勝者の歴史です。いくら客観的な見方をしても、勝者にとって都合の良い風に書かれています。これで、もし吉備国が大和朝廷に勝っていたら、「大和朝廷が鬼」という表現をされていてもおかしくないですからね。




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