タルタルソースの「タルタル」の意味と韃靼蕎麦の「韃靼」の意味が同じ理由とは?

今回は久々に世界の歴史です。しかも、少し変わった角度からいきます。なんと「料理」です。みなさんは「タルタルソース」を知っていますか?サーモンフライやその他揚げ物なんかによくかかっている、マヨネーズを基調としたゆで卵等の細かい刻み物がブレンドされたソースですよね。なんというか、表現が難しいですが。一度は口にしたことがあると思います。

 

では、この「タルタル」ってどういう意味か分かりますか?なにやら、かわいらしいというかふざけてるというか、不思議な響きですよね。実はこの「タルタル」、歴史に関係するワードなんです。それを今回、簡単に解説したいと思います。




タルタルソースについて


まず基本的なタルタルソースの基礎知識からです。タルタルソースの「タルタル」はフランス語の「sauce tartare」からきています。が、「tartare」という響き、どう考えてもフランス語ではありませんよね?この「tartare」ですが、意味合い的に「異国風の」というような感じで使われています。この「異国風」とはいったいどこの「異国なのか?」がポイントとなります。フランスから「異国」といえば、ユーラシア大陸かアフリカ大陸等、ヨーロッパ大陸から離れている場所ですよね。では、いったいどこなのでしょうか?

 

タタール人とタルタルソース


ネタバレします。古くからモンゴルおよびシベリア付近で活動していた騎馬民族に「タタール部族」という民族がいます。いわゆる、「タタール人」です。彼らは小さな民族です。では、彼らとヨーロッパの接点はどこにあるかというと、チンギス=ハンやフビライ=ハンの頃を想像していただくと分かりやすいです。いわゆるモンゴル帝国・元が世界を圧巻します。なんせ、ヨーロッパにまで攻め込みますからね。その頃のモンゴル帝国や元というのは、いくつもの部族が連結し、ユーラシア大陸を動き回っていました。もちろん、タタール人も例外ではなく、騎馬民族かつ遊牧民族である彼らはユーラシア大陸に広く分布していきます。つまり、タタール人はヨーロッパとも接点が直接的・間接的にあったわけです。

 

そのタタール人が食べていたもの一つに「生肉と香味野菜を細かく刻んだもの」があると言われています。いわゆるこの「生肉と香味野菜を細かく刻んだもの」が「タルタルステーキ」としてヨーロッパに定着していくわけです。また、その派生としてその「細かく刻んだ香味」が「タルタルソース」となっていくわけです。「タタール」→「タルタル」というわけですね。




実は韃靼蕎麦茶も同じ


この「タタール」を中国読み、いわゆる漢字で書くと「韃靼」と書きます。「タタール人」は「韃靼人」ですね。彼らは「韃靼蕎麦(ダッタンソバ)」を好んでいたそうです。彼らが「韃靼蕎麦」といっていたわけではありませんが、中国や日本からみると、「タタール」は「韃靼」となり、「韃靼蕎麦」となるわけです。つまり、日本人がよく飲む「韃靼蕎麦茶」というのは「タタール蕎麦茶」であり、「タルタル蕎麦茶」でもあるわけです。

そう、実は「タルタルソース」と「韃靼蕎麦茶」の語源は同じだったんです。つまり、「タルタルソース」を「韃靼ソース」とも言うことができますし、「韃靼蕎麦茶」を「タルタル蕎麦茶」ということもできます。ですが・・・・「タルタルソース」と「韃靼蕎麦茶」というネーミングの方がしっくりきますよね、もはや。なので、そこは触れないでおきましょう。

「タルタルソース」と「韃靼蕎麦茶」の語源は同じであり、しかもそれらの由来は「タタール人」だったという話でした。ぜひ、タルタルソースや韃靼蕎麦茶を眼にしたときは、うんちくとして語ってみてください。おそらく、あまり良い顔はされないでしょう。




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