【映画で学ぶ歴史】「超高速!参勤交代」は史実を織り交ぜたノンストレス映画

sankin

やっと見れました!「超高速!参勤交代」とその続編である「超高速!参勤交代リターンズ」!いや~どちらもかなり良かったですよ~この世界観、なかなか好きですね。ずっぷり映画の中に入っていました。映画の中の世界観から出たくなくなるような映画は個人的に好みなんですよね。キャストも非常に良いです。

 

そして、歴史の観点からこの映画を論じると、「史実を要所要所で織り交ぜつつも、歴史が苦手な人でも分かりやすい映画」となっています。そして、この映画を既に見た人も見てない人も、「これを知っているとさらに面白くなる歴史の観点」をこの記事ではお伝えしようと思います。映画や漫画は歴史に「視覚的要素」を与えてくれるので、歴史を学ぶのにはもってこいのツールなんです。

 

その前に、この映画の題名ともなっている「参勤交代」について学校の歴史で学んだと思いますが、もう一度おさらいしてみましょう。参勤交代は以下記事にて詳細に記載してるので一度見てみてください。

参考記事:江戸時代の参勤交代は、現代日本の基礎インフラを作り上げたすごい効果がある

では、いきましょう!




まずは時代背景から


この映画のテーマはずばり「参勤交代」です。参勤交代といえば、「江戸時代」ですよね。しかし、江戸時代と一言でいっても約260年続いており、徳川将軍も15代までいます。では、この映画はその江戸時代のいつごろなんでしょうか?

 

ヒントは映画に出てくる市川猿之助が演じる「8代将軍、徳川吉宗」です。徳川吉宗といえば、暴れん坊将軍でも有名ですよね。そしてもう一つ、吉宗といえばずばり「享保の改革」です。

 

「享保の改革」とは教科書通りの説明をすると、幕府財政をたてなおすために「質素倹約」を幕府自らが行ったり、「目安箱の設置」等の市政を正したりした「幕政改革」です。「享保」とは当時の年号ですね。もうすぐ終わりますが、今で言う「平成」です。「享保年間」に行われたので「享保の改革」です。

 

この超高速!参勤交代はちょうどその享保20年、西暦でいうと1735年の徳川吉宗の時代です。

 

湯長谷藩とは


主人公、佐々木蔵之介演じる「内藤政醇(まさあつ)」「湯長谷藩(ゆながやはん)」の藩主であり、実在の人物です。藩主とはお殿様であり、今で言う「都道府県知事」に近からず遠からずです。

 

この「湯長谷藩」ももちろん実在した藩で、現在でいうところの福島県いわき市にありました。藩の大きさというか強さを計る目安として「石高」というのがあります。簡単にいうと「どれだけ米がとれるか(生産性)」です。例えば、「加賀百万石」という言葉がありますが、この言葉通り百万石というと「とても大きい」ことの例えになってます。その一方で、この湯長谷藩は映画でもでてきますが、なんと「一万五千石」です!これは、全国の藩の中でもかなり小さいです。

参考記事:加賀百万石の「石」とはどんな単位なのか?現在の価値になおしてみよう

 

そのため、映画の中では「田舎の小藩」と馬鹿にされます。

 

しかし、この湯長谷藩は史実では代々内藤家が治め、江戸時代が終わり「廃藩置県」が行われるまで、取り潰しがなかった優秀な藩なんです。ちなみに、内藤家が治めているので、家紋は「下がり藤」です。字のごとく、藤原系の家紋ですね。この家紋もよく映画にでてきますよ。



実在の人物もたくさん!


これまた、映画には実在の人物がたくさんでてきます。例えば、なんとかして湯長谷藩をとりつぶそうとする老中「松平信祝(のぶとき)」も実在の人物です。陣内孝則が演じていましたね。憎たらしい感じがとてもよくでてきました。

 

また、古田新太が演じていたのはあの「大岡越前」です。本名は「大岡忠相(ただすけ)」ですね。もちろん、実在の人物です。大岡忠相といえば、なんといっても「町奉行」ですよね。例えば、江戸の防火性を高めたり、賭博と取り締まったり、はたまた貧病人のための養生院をつくったり、「青木昆陽」を採用してサツマイモを育てたりと、大活躍の人物です。これもまた、いい味でてました。

参考記事:さつまいもの歴史は面白い。なぜ「薩摩」の「芋」なのか?その語源と由来について

 

そして、これは実在の人物ではありませんが、「雲隠段蔵」という信州戸隠流の忍者がでてきます。これは、「真田三代記」に出てくる「霧隠鹿右衛門」と、忍者であり幻術使いといわれ、武田信玄や上杉謙信に使えたとされる「加藤段蔵」から名字と名前をとったものでしょう。ちなみに、「霧隠鹿右衛門」は真田十勇士の忍者である「霧隠才蔵」のモデルとなった人物ですね。

まだ見てない人のために、決定的なネタバレ表現は避けていますが、この映画は大円団で終わるため、安心して見れますよ。そして、既に見てしまった人もまだ見ていない人も、本記事を読めばさらにこの映画が楽しくなると思います。ぜひ、見てみてください、良い映画です。




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